話すことで心は軽くなっていく

ちょっとうとうとはしたものの、
眠れないまま朝を迎える。

余震は相変わらす。
恐怖は感じつつも、
慣れていくような感じもあり、
それも怖い。

Fさんからメールがきて、
先日亡くなったOさんのお家に、
お線香をあげに行く。

こんなときにとも思ったけれど、
部屋で悪いニュースだけ見ていてもと思い、出かける。

うちの近所は普通に機能していて、
昨日はどこのコンビニにもなかった
携帯の充電器も買えた。

docomoの充電器を地震のときにアルバイトの女の子に
貸してしまったのだけど、
昨日の昼間には切れてしまった。

こういうときiPhoneと2コ持ちでよかった。

充電すると友達からの
メールがいくつかたまっていて、
それぞれに返す。
いまはこういうお互いの
無事を喜ぶひとつひとつのメールが、
本当に温かいなぁと思う。

近所の花屋で花束をつくってもらう。
菜の花、チューリップ、スイトピー、
春の花。
やわらかな香りが広がる。

ケーキも買って電車に乗る。

春の陽気。

映像で見る被害の状況がまるでウソのように
うららか。

駅前でFさんに会って、
お茶をしながら、地震のことやいろいろな話。

Oさんの奥さんが駅まで迎えに来てくれて、
自宅にお邪魔する。

いろいろな話をする。
仕事のエピソードとか、本当にいろいろ…。
思い出しては泣いたり笑ったり。

話すことでみんなが温かな気持ちになる。
これが供養になるんだなと思う。

駅まで戻って、Fさんと電車にのって戻ってくる。
戻りながらもやっぱりいろんな話をする。

いまは変わるときなんだなと思う。

迷っていたもうひとつのこと。
仕事で体験をして欲しいといわれていた
エステに行く。はじめは予約を取り消そうとも思ったけれど…。


オールハンドとで電気は使っていないといっても、
お店は電気を使っているわけだしと、
いろいろ考えるけれど…。やっぱりこれも仕事と思う。

お店の女の子と地震の話をする。
お店にいたこと。帰れずに泊まったことなど。
スタッフの中に東北の出身のひとがいることなど…。

話しているうちに眠ってしまった。
寝不足だったのもあるけれど、
その手の心地よさに、ぐっすり眠れた。

ありがとう。

やさしい手。
そのひとを癒したいと願う手。

ありがとう。

自分勝手な意見とは承知で、
こんなときだから、
女のひとはおしゃれをしようよと思う。

美容師やエステティシャンはきれいの魔法をかけようよ。

きれいになって笑顔になれば、
子供やダンナさん、彼氏など、
周囲も笑顔になるはず。
だってうれしいでしょ?


もちろん節電には気を使いながらね。


もうずいぶん昔の資生堂のコマーシャルで、
老人ホームのお婆さんが、
口紅を塗ることでいきいきと
笑顔が輝いていくというものがあった。

大好きなコマーシャルだった。


被災者のことを想いながらも、
自分の笑顔が輝くことで、
そのハッピーな気分は伝わっていくんじゃないかな。

理想論かもしれないけれど。


夕方、なんとなくひとりでいたくなくて、
Iちゃんに電話する。
お母さんがきてるとのこと、
「よかったらおいでよ」と言われる。

今日も東京タワーの灯りは消えている。

コンビニもライトを部分的に消しているお店がいくつかあった。

Iちゃんのお母さんが作ってくれた
カレーを食べる。おいしい。

感謝。

TVを見ながら、Iちゃんやお母さんといろいろ話す。


今日は話すことが、
心を軽くするって本当に実感した。

そして話す相手がいることにも本当に感謝。


ありがとう。
ありがとう。

明日も誰かと話そう。