冬の旅の断片 2011 その2


ゴットランド島
ぐうぐう寝ているうちに着いてしまったゴットランド島
バルト海に浮かぶスウェーデン最大の島。
もともと島好きというのもあるけれど、
なんとなく都会じゃないところにも行ってみたかったのが理由。
尊敬するカメラマンのひとも、「ゴットランドはいいよ」と
言っていたので。あと冬の海のフェリーに乗ってみたかったのもある。

ハンザ同盟で栄えた中世の面影が残る街、
ヴィスビー。廃墟と薔薇の街と呼ばれている。
一説には、アニメ『魔女の宅急便』のモデルになった街とも。
夏は避暑地として多くのひとで賑わっているらしい。
夏はね…。

たぶん冬にこの島を訪れるひとは、かなり少ないと思う。

飛行機が空港に着陸して、
またタラップを降りて、雪の中をゲートまで歩く。
荷物もあっさり出てきて、
どんどんひとが消えていく。

夜9時過ぎだけど、
お店はやっていないし、ATMもみつからない。

やばい〜、ひとりぼっちは怖いよぉ〜と思って、
とりあえずタクシーにホテルの名前を告げる。
なんとかクレジットカードは使えるみたい。
よかった。

10分くらいでホテルの前に着く。
なんだか街はシーンと静まっていて、
真夜中くらいの感覚。

で、ドアのブザーを押す。
も、誰も出てこないっ! ひぃ!
よくドアのところを見ると15:00までしかいません。
それ以外の時間でご用の方はお電話をと書いている!
なんたるっ! そんなこと予約のときに聞いてないよう〜〜〜!
泣きそうな気分で携帯を取り出して電話をする。
このときって、どう電話すればいいのか?
0はとるのか? など頭ぐるぐる。
コールしたと思ったら留守電。
うぇええ。とりあえず、名前を言う。
予約してある。ドアの前にいる。でも、ドアが閉まっていて、
困っているのです。そんなことを単語の羅列になりながらも、
しゃべる。「どうしよ〜、このまま開かなかったら…まじ凍死しちゃうよぉ」
夜9時過ぎなんて、東京ならまだ宵の口だけど、
この街は死んだように寝静まっている。
もう一度、電話したら女のひとが出て、
ドアのパスコードをいれろといって番号を教えてくれる。
でも、開かない〜! えええん〜!
寒いよ〜と訴えてみる。
何回かトライしてやっとドアが開く!
電話の相手に、「パーフェクト」って言われたけど、
何がパーフェクトやねん!
という気持ちになる。
が、とりあえず凍死は避けられてよかった。

中ももちろんひとはいず、
(なんとオーナーはいまスペインにいるらしい…)
レセプションのカウンターに、
わたしの名前の書いた封筒が置いてあった。
封筒には鍵が一個…。

時間にしたらたぶん10分もかかってない
出来事なのだけど、脳みそフル回転しました。

部屋は清潔で心地よく、
大きめのベッドとシャワールーム。

ほっとして、
どっと疲れて、
倒れ込んで眠ってしまった。