冬の旅の断片 2011 その5

ストックホルム

バスが着いたのはストックホルム中央駅にある、
シティターミナル。

雪が降っているので、
ささっとビルの中に入るも、
実はあまり位置関係がわかってない。

予約したホテルは駅の近くのはずだけど…。
時間はまだ12時過ぎ。
チェックインの時間には早いよなぁと思うけれど、
荷物もあるしあまり動きたくない。

とりあえず駅近くのカフェで休憩。
カフェラテとチキンのベーグル。

地図を開いて通りの名前を確認。
きっとタクシー乗る距離じゃないよなぁ。
でも、雪の中をスーツケースをひいて歩くって
結構大変。風も強い。

しばらくぼ〜っとしていて、
でも勇気を出して店から出る。

雪も風も強い。
下を向いてくぅうっと歩く。

カフェからホテルはすごく近くて、
5分くらいで着いてしまった。
こんな近いとは…。

チェックインできるかな? と思って
レセプションにいくと、
向こうから名前を言われて、
予約票を見せることもなく、
パスポートを見せることもなく、
記入することもなく、
あっさりキーを渡されて、朝食の説明をされる。
いいのか? こんなにアバウトで。
まぁ、もうカードでお金を払っているけれどさ。

ホテルの部屋の形はちょっと変わっていて、
真ん中に丸い大きな柱があって、
そこがシャワーブースになっている。
めずらしくベッドもシングルサイズ。

休んだら出たくなくなると思い、
荷物だけ置いて再び外に出る。

まずは充電できるようにプラグアダプターを探さなきゃ。

デパートやお店が集まる、
セルゲル広場周辺に行く。

本来の目的を忘れて、つい食器などを見てしまう。

あ、りんごのマーク。
アップルのお店を偶然に見つけてラッキー! と思ったら、
なんと休みだった。ちぇっ。

でも、ショッピングセンターの中に、
家電量販店みたいなところをみつける。

ありましたよiPhone用のプラグが。
USB部分の差すところは同じはずだから、
きっと大丈夫。

300krくらいして、ちょっと高いけれど、
まぁ、また使えるしと自分を納得させる。

ショッピグセンターの中の案内板がタッチパネル式で、
すごいなぁと思った。
小さな子供が手のひらで、
スクロールしながら使っていて、
ほええと思った。

室内は乾燥して暑くのどが乾いたので、
ジューススタンドでジュースを飲む。
その名も「パラダイスビーチ」!
雪のストックホルムで南の島気分。

街をふらふら。
ストックホルムに前に着たのは何年前かなぁ?
3年前? 4年前。
でも、建物などはほとんど変わっていないので、
歩いていると記憶がよみがえってくる。

ビルと古い建物と運河、
そして雪。

寒いけれどきれいだなぁと思う。

荷物が増えたので再びホテルに戻り、
ちょっと休んででかける。
ごはんも食べたいし。

が、さっきまで開いていた店もなぜか閉まっている。

あれ? 今日は平日だよなぁと思うが…。

そういえばと思い出したのが、
以前にマルメに行ったときもこんなことがあった。

もしかしたら何かの祝日かもしれない。

結局、店が開いてないので、
デリみたいなところで、フルーツとスープ、
パンを買って帰る。

ホテルの部屋でぬくぬく。

TVでは結婚したばかりの王女さまの話をやっていた。

iPhoneも携帯電話も無事充電完了。

なんだかほっと安心。
やっぱりこういうものが、
もう生活にはなくてはならないものに
なっているんだなぁと実感する。

iPhoneのMAPは、
ストックホルムの街歩きにすごく役立った。


【雪のある暮らし】

ヘルシンキのホテルでぼっとしているとガリガリと音がして、
何? と思ったら窓の外に雪がぼさっと落ちてきた。
どうも屋根で雪かきをしているらしい。

ヘルシンキでもストックホルムでも、
歩いていて、いきなりビルの上から雪が落ちてくることがあって、
こわっと思ったことがあった。
雪が落ちてくる部分にテープが張ってあって、
立ち入り禁止になっていたり。

屋根に命綱みたいなのをつけて、
雪おろしをしているひとや、
トラックいっぱいに雪を積んで走る車を見たりも。

空港でも除雪に時間がかかった。

普段、東京にいるとわからないけれど、
こういう除雪などにどのくらいの予算がかかるのかな?
雪の中で毎日快適に暮らすために必要なこと。
そして、そのために誰かが働いているということ。


【旅の終わり】

旅の終わりはストックホルムから。
昼過ぎまでゆっくりして、
駅からアーランダーエクスプレスに乗る。

雪の景色を眺める。

飛行機が遅れないことを祈る。

あっという間に空港に着く。

エレベーターのところでアジア系のおばあさんに会う。
日本人かな? と思ったけれど、
とくに言葉はかわさず。

降りるときに、「どうぞ」と言ったら、
「あら、日本人の方?」と言われ、
同じフィンエアということでいっしょにチェックインカウンターに行く。

旅慣れている様子で、
係員のひととどうもスウェーデン語でしゃべっている。
こっちに住んでいるひとなのかな? と思う。

一回別れたあと、荷物検査を過ぎて、
免税のショップで買い物していたらまた会って、
カフェで軽く食事をしていたら、
「ごいっしょにいいかしら?」と言われ、
「どうぞどうぞ」ということで話をする。

お子さんがこちらにいて、
クリスマスの休日をストックホルム
過ごしたらしい。
もともとロンドンに住んでいて、
お子さんはみんな海外で仕事をしているらしい。

そのおばあさんは、
今は神戸在住ヘルシンキ経由で関空まで。
わたしは成田なのだけど、飛行機の時間は5分違い。

仕事の話や教育の話、
食べ物の話、
東京の話など、いろいろな話をして楽しかった。

飛行機はやはり遅れて、
接続が大丈夫かな? とちょっと不安になる。

時間が進む。
太陽を置き去りにして、
夜の方角へ飛行機は飛ぶ。

ヘルシンキに着いたのがほぼ成田行きのゲート開く時間。
同じフィンエアだから、待っていてくれると思ったけれど、
とりあえず早足でパスポートコントロールを抜ける。

おばあさんとはお互いのゲートのところでお別れ。
名前も連絡先も聞かなかったけれど、
そういう出逢いもいいよね。

いつかまたどこかで。
お元気で。

買い物する時間もなく搭乗したら、
トラブルや除雪のために2時間近く飛ばなかった。

機内はそんなに混んでいなくて、
隣の席のひとは早々と違う席に移っていった。

食事をしたあとは、
映画を観たり本を読む気にもならず、
うつらうつら。
寝たり起きたり。

気がつけば朝。

雲の上は青い空と光があふれている。

昼過ぎに用事を入れていたのだけど、
間に合うかな? とちょっと思う。

成田着。
快晴。

都内に戻ると少しほっとする。

何もしない旅だったけれど、
やっぱり行ってよかった思う。
そしてこれからも何もしない旅を続けると思う。