意味も目的もない限られた時間

海外旅行の醍醐味のひとつはトランジット。
とくにひとり旅のときは、
トランジットの時間を思う存分、
自分なりに自由に使えるのがいい。

目的地までもう少し。
そんな旅の途中。
どこにも属さない時間。
 
旅立つひとと、帰るひとが行き交う。
高揚感と安堵感、そして少し疲労を帯びた空気が混じる。

大きな荷物は預けてあるから、
心も身体も身軽。
でもちょっと不安。
もし何かあったら?
飛行機が飛ばなかったら?

電光掲示板で自分の乗る便を確認して、
残りの時間を計算する。

ショップを見て、
キャンディや水などを買う。
空港内のベンチや天井や、
カートのデザインを見て、写真を撮る。

居心地のよさげなカフェをみつけて座る。
セルフなら、トレーを持って
サンドイッチやパスタ、スープなどを頼む。

iPodで音楽を聴く。

バッグから本を取り出して読む。

でも、心はどこか上の空。

飛び立つ飛行機を眺めたり。
同じカフェのひとたちと目が合うと
にこっと笑い返してくれる。

そんな風にしているうちに3時間くらいは、
簡単に過ぎてしまう。

チケットを確認。
もう一度ゲートナンバーを確認。

トイレにも行っておこう。

ゲートに行って、
自分の乗る飛行機の便名があることに安心する。

ほっとして、
またベンチで本を読む。

そんなのんびりした時間。
トランジットを味わうだけの旅がしてみたい。