眺める

地下鉄の階段をのぼっていく。
暗い影にフレーミングされた出口から
青い空が見える。

階段の下で、少しだけ足を止めて、
その切り取られた明るい風景を見上げる。

そんな風景に出逢うたびに、
ユージン・スミスの「楽園へのあゆみ」という
写真を思い出す。

光の中へ踏み出す
小さなあゆみ。
つなぐ手。

その光と影のコントラストに惹かれる。
フレーミングされた小さな世界。

少しだけ、暗い場所に身を置いて、
静かにその風景を見ている。