ふらり日本海 ひとりが好きなワケではないけれど。


あっという間に7月も終わろうとしている。

金曜日の夜に原稿書きが終わる。
編集者が原稿を読んでいる間に、
前から約束していた広告代理店の人に
お寿司をおごってもらいに西麻布まで行く。
入稿作業もあるからあまり酔わないように気をつける。

この広告代理店の人がバブルテーストというか、
今では絶滅危惧種なくらいの
ザ・代理店という感じ。
調子はいいけれどちゃんと自分の役割をわかっていて、
まじめだけど、融通がきかない
今の代理店の感じに比べるとよっぽどいい。

0時過ぎに編集部に戻ったら、
まだみんな仕事していて、
そこから入稿作業をしたら、
結局、家に帰ったのは3時近かった。

そんなときに流れてきたニュースは、
ノルウェーからの悲しい事件で、
どんどん被害者の数は増えていき、
なんとも言えない気持ちになる。

北欧の国が安全で、安心で、
福祉の国だから、みんなの幸せ指数が高くてとは
思わないし、知らない側面もいっぱいあると思うけれど、
それでも、なぜあのような悲劇が起きなければいけなかったのかを
心の中で考える。

まだ子供のような青年たちに銃を向け、
逃げても追いかけ、その引き金を引くことで、
彼の魂は何か救われたのだろうか?
誰かに理解されたと思うのだろうか?

最近のヨーロッパ(とくにドイツ)の映画を観ていても、
移民をテーマにしているものも多く、
いろいろ考えてしまう。

仕事でデンマークに行ったときも、
イスラム系の人が多く住む地域で、
「ここは行かないほうがいい」と言われたり、
逆にイスラム系の人の支援をしている人にも会ったりした。

なので何がいいとか悪いとかは言えないけれど。
誰かを殺したところで、
何も解決しないことだけは確か。
深い傷を心に負ったノルウェーの人たちことを思う。

二度寝、三度寝をしながらも
10時には起きて、ピラティスに行く。

ううう、やっぱり肩が、首がばりばり。

お昼はスパゲッティ。
茄子と厚切りのベーコンをしょうゆバター味で。
太めで少しゆですぎくらいで炒めて。
無敵。スパゲッティーはイタリアンじゃなくて、
スパゲッティーという料理のひとつだと思う。
カレーライスとカレーが違うように。

さて午後は何しようかなぁとしばし考え、
どこか遠くに行きたいなぁと思う。
とりあえずバッグに本を入れて、iPhone持って。
地下鉄に乗って本を読んで、音楽を聴いているうちに
なぜか北千住につく。駅のそばのファッションビルでセールをやっていて、
さっとした麻のワンピースを買う。
で、そのまま山手線に乗り、上野で降りて、
本屋さんで本とマンガを買い、ドーナツを買い、
ユニクロで下着を買い、新幹線の乗り場へ。
さてどうしようなぁと思う。
仙台? それとも山形方面? それとも青森?
なんとなく太平洋側は気分じゃなくて、
日本海ということで新潟にする。
人生2度目の新潟。

意外と新潟は近くて、2時間くらいで着いてしまった。
日本海に沈む夕陽には間に合わなかったけれど。
新幹線の中でネットで予約したビジネスホテルにチェックイン。
買ったばかりのワンピースを着てでかける。

信濃川の川縁をふらふら歩く。
風が涼しくて心地よい。

新潟の街も節電の影響はかなり暗くて、
川に沿って歩いていると、
暗いベンチにいきなりカップルがいて、
死ぬほど驚いた。

夜が更けて食いっぱぐれるとまずいので、
夕食のお店を物色。
ひとりごはんはまぁまぁできるのだけれど、
知らない街でのひとりごはんは、
それでもハードルが高い。

感じのよさげな和食屋さんをみつけて、
生ビールと海鮮丼を注文する。
海や魚も新鮮でおいしかったけれど、
ごはんがとってもおいしかった。
佐渡コシヒカリ
あまりのおいしさに、おにぎりをお土産に
できないかと聞いてみたけれど、
時節柄もあって「食中毒が心配なので」ということで、
ダメだった。残念。
口直しのスイカが出て、
みずみずしくておいしかった。

ホテルに戻って、本を読む。

疲れていたのもあって、
そのまま寝てしまったのだけど、
なんとなくうなされていた気がする。

朝、6時過ぎに目が覚める。
何をすることも特に考えてなかったのだけど、
日本海を見ながら、朝ごはんにおにぎり食べたい」とだけ
思いたつ。

ネットで評判のいいおにぎりやさんを調べる。
日曜日でもやっているおにぎりやさんをみつけ、
電車に乗っていく。

ネットでは朝7時半から開いていると書いてあったのだけれど、
学生向けの店だからか、日曜日は8時半からだった。
駅前には他には何もなく、時間をつぶせる
コーヒー屋さんもない。

なので、駅前のベンチに座って本を読んでいた。

8時半過ぎておにぎり屋さんがオープンし、朝用と昼用におにぎりを買う。
いくらのおにぎりも食べたかったけれど、
持ち歩くことを考えて鮭、たらこ、かりかり梅とじゃこの3種類に。

コンビニでお茶を買い、
いちばん近い海を目指す。

iPhoneのMAP便利。

それにしてもネットがなかったら、
ひとりでこんなに簡単にふらりとどこかに行ったりは
できなかったと思う。

夏休み中の高校の前を通ると
部活に出ている生徒の声が聞こえたり、
自転車が並んでいて、なんだか懐かしい気持ちになる。

海に出る。

朝だからか人はいなくて、
海縁のコンクリートの上に腰掛けて
おにぎりを食べる。

少し空も海どんよりしていたけれど、
太陽がちょっと顔を出すと、
海の色が急に明るく青緑色になってきれいだった。

しばらく本を読んでいたのだけど、
だんだん日射しが強くなってきたので、
戻ることにする。
夏草の中を歩いていたら、
青くピカピカと光る尻尾を持ったトカゲに出合った。
写真に撮ろうと思った瞬間には、
もうどこかの石の下に消えてしまっていた。

夜に友人と食事の約束をしているので、
それまでに東京に戻らなきゃいけないけれど、
まだ時間はある。

なので、日本海に面したいちばん海に近い駅、
青海川」駅に行くことにする。

新潟から新幹線で長岡まで出て、
そこから信越本線iPhoneの乗り換え案内が教えてくれた。

もう新潟には戻らないので、
新潟駅で笹だんごなどお土産をいくつか買って、
宅急便で実家に送る。

新潟はJR東日本なので、
PASMOが駅の売店や自動改札でも普通に使えるのが、
なんだか不思議な気がした。

乗り換えの長岡の駅で、
バラの笹だんごを売っていたのでおやつに買う。

電車はなつかしのボックス席で、
ドアは手動。

日射しが強いのでうとうとと寝てしまった。

緑の田園風景を過ぎ、
日本海へ再び出る。

原発のある柏崎の近く。
しばしいろいろ考える。

青海川」の駅は無人駅で、本当にホームのすぐ先が海になっている。
そこは海水浴場になっていて、何人かの家族連れや若者がいた。
なんだかひとりでいるのが場違いな気がして、ちょっと高台までのぼって、
ベンチに座っておにぎりの残りを食べる。
夏草が生い茂り、その草がふうふう呼吸をしているような、
そんな青く、もあっとした夏の空気を久々に感じた。
日射しが強いので早々に退散して、
あとは駅の待合室で本を読んで過ごす。

やはり有名な駅なのか、
バイクやクルマで乗り付ける人が何人かいて、
写真を撮っていく。

駅のホームにベンチもないところに、
靴を脱いでそのままごろんと寝ている男のひとがいて、
自由でいいなぁと思ってしまう。
海の音を聴いているのだろうか?

電車は約2時間上りも下りもなく、
のんびりと時間が流れる。

おやつに長岡で買った
笹だんごをひとつ食べる。
自分史上最高においしい笹だんごだった。

駅のホームから海を見る。
日本海の海は、
生まれ育った太平洋の海とは違い、
やはり静かな感じがする。
いつか行ったデンマークの北の海に似ている気がした。

電車がきて、長岡に戻る。

新幹線の切符を買い、東京に戻る。
風景を見たり、本を読んだりしているうちに、
あっという間に東京に着いてしまった。

友人との約束にも間に合い、
恵比寿で豚しゃぶを食べる。
コシヒカリの小さなパックやおだんごなど
お土産を渡す。

昨年の夏に離婚したと思ったら、
いきなり妊娠、そして9が月ってどんなスピードなん?
あの地震のときや、
2か月前にいっしょに仕事してたときも、
全然気がつかなかった。恐るべし…。

「いやぁ、ちゃんと大丈夫って確信持てなかったから、
言えなくてね」っていう気持ちもわかる。

生まれたらめちゃくちゃ可愛がろうっと。

そんなこんなで楽しい時間は過ぎ、
一日が終わる。

ひとり旅をしたり、急に思い立ってどこかに
出かけることをひとに言うと、
「すごいね〜」と言われたりする。
決してひとりが好きなわけではないけれど、
ひとりで気ままに過ごしたいときもある。

いろいろな風景を見て、
そこに住むひとの暮らしを想像したり、
ただ電車に乗っている時間が好き。

日焼け止めを忘れてきたので、
腕と顔がこんがりしていた。

一応美容関係の仕事なのに…。

仕事で某化粧品会社のひとに会ったら、
そのひとも趣味がサーフィンだからか、
すごい日に焼けていて「お互いにまずいですよね」と苦笑い。

来月は四国の愛媛に友達と行く予定。

今度はのんびりと瀬戸内海でも眺めましょう。